今更だが角川「俳句」2月号を読んでいて、高野素十の句が
また一人遠くの芦を刈りはじむとなっていて、あれ、「蘆」じゃないのか? と思った。
「芦」は、「蘆」の簡易慣用字体ということで、2000年の国語審議会で、印刷標準字体(「蘆」)と入れ替えて使用しても支障がないという答申がなされたとのこと。それなら角川「俳句」ではすべて「芦」で統一しているのかと思ったら、そうでもないようだ。
初出時がどちらだったのかはわからないが、歳時記を見てみると、
角川俳句大歳時記、現代俳句協会編・現代俳句歳時記は「蘆を刈りはじむ」、平井照敏編・新歳時記、角川文庫俳句歳時記(第三版)は「芦を刈りはじむ」だ。現代俳句協会編は、すべての例句が「蘆」か「葦」、平井照敏編はすべて「芦」か「葦」だが、角川大歳時記、角川文庫は例句によって使い分けている。それなのに、掲句は表記がそれぞれ違っている。何故なんだろうか?